先日次男が中学校を卒業した。
その学校は、和光中学校(以下和光)という私学。
幼稚園から大学までの所謂一貫校だが、学力や偏差値でよく知られる有名校とは異なる、子ども、学生を主人公として独自の教育方針を貫いている。
「学校で子どもが主人公なのは、当たり前じゃないの?」そう思われる人もいるだろう。
そう、勿論学校で子どもや学生が主人公なのはあたりまえのことだ。
でも、私たち夫婦は和光で子どもがお世話になるまで、そのことの本当の意味を知らなかった、と言っていいと思う。
この春大学二年生になる長男、そしてこの学校でこの春高校三年生になる長女、そして卒業した次男と、三人の子全員が、和光で育まれた。
そして私たち夫婦は、親としてどのように子どもに接すればいいのか、どのように振る舞うべきか、というようなことを、和光で教わった。小学校低学年の時は、低学年の親として、そして高学年、中学生、高校生と、その段階に応じて、様々なイベントやエピソード、時にはアクシデントを通して、示唆を受け、親も一緒に育まれた。
そして沢山の素晴らしい先生に会った。
私学の学費は軽くない。でも振り返って、和光に納めた学費は、今まで使ったお金のなかで、有意義なもののひとつであったと確信する。そして学校に深く感謝している。
子どもについてのプライベートなことを、彼らの許可なしにここに書くのは如何なものかと思うが、次男の話をしたい。
次男は、昨年暮れから正月明けにかけて、ある学校を受験した。
「アジア太平洋地域そしてグローバル社会のために、新たなフロンティアを創り出し変革を起こせるリーダーを育てる」ことをミッションに掲げた新設校だ。昨年秋、この学校の説明会に参加した。
素晴しい施設、素晴しい環境、そして素晴しい教師陣。そして多国籍、そして多様な文化的背景を持つ若者が集まり、共に学び合う。夢をかき立て、育む、素晴しい学校だと感じた。
一通りの説明が終わって、質疑応答の時間となった。
次男が私に目配せをして「質問してもいいのかな?」と聞いたので「勿論」と頷くと、彼は挙手してこう質問した。
「障害者の受け入れ体制はどうなっていますか?」
質問を受けた方も、驚かれたかも知れない。私は驚いた。
子どもならもっと他のこと、例えばプログラムのこととか、学校生活のこととか、クラブ活動とか、つまりは自分に直接関わることを聞きそうなものだ。
説明会の終了後、引き続き彼が質問したことも、勉強や学校生活の具体的なことよりも「生徒間でトラブルが起きたときはどう対処するのか?」など、主に学校での自治のことだった。
彼の興味は、自分のことだけではなく、自分と、自分を取り巻く仲間に向けられているのだな、と親として頼もしく感じた。
会場を後にして次男が「この学校も素晴しいけど、俺たちが和光でやっていることはもっと高度だと思う」と呟いた。
勿論、高度、と言いきれるのは自治活動や学ぶ力をつける教育のことだ。「どちらがどう優れているか」ではなく、自分が受けた教育を、こんな風に誇りに思い、堂々と語れるのか、と胸が熱くなった。
この春、次男は和光中学を卒業して、和光高校に進学する。
進学を前にして、3月15日に中学校の卒業式が行われた。
卒業式は第一部、第二部に分けて行われ、一部では両角憲二校長先生の式辞が述べられる。
両角校長は、弱小だった和光中バスケットボール部を都大会優勝まで導いた経験を持つ名物校長。
入学式や卒業式での式辞が素晴らしく、私はこの方こそTEDのステージに上がるべきだ、と常々感じている。
今回の式辞も、胸を打つ、この学校に通わせて本当に良かった、そう思わせる素晴しいものだった。
次男の卒業式での式辞が公式ウェブサイトに掲載された。
私自身は式辞を直に拝聴した。次男が、なぜ学校説明会で「障害者の受け入れ体制はどうなっていますか?」と質問したのか、もっと言えばどのような教育を受けたのか、その理由と真髄を、私自身も確認した気がする。
サイトには両角校長の他の式辞、エッセイも含めて掲載されています。これから年頃の子どもを持つ親にとって、勿論そうでない人にとっても、一読の価値あり、です。
先週土曜日、3月14日息子の高校卒業式で先生の話聞かせて貰いました。本当に素晴らしかったです。私学の学費は軽くない。でも振り返って、和光に納めた学費は、今まで使ったお金のなかで、有意義なもののひとつであったと確信する。そして学校に深く感謝している。校長先生のお話の冒頭を聞いて、私もまったく同じことを思いました。子供が一人しかいないので、もう和光に行くことも無いんだなあと思ったら親のほうが寂しくなりました。和光学園は総合学園としては小規模ながら、特に文化・芸能に関して多く著名人を輩出している、これは偶然でなくしっかりとしたこの学校を作ってきた創設者たちの思いが今に生きているような感じた一日でした。両角先生の次のステップにもエールを送りたいと思います。(本当にTEDに出てほしいです!)
投稿情報: ha_genz | 2015年3 月22日 (日) 07:50
お互い様、卒業おめでとうございます!
TEDって他者推薦というのはあるのでしょうか。
是非聴いてみたいものですね。
コメントありがとうございました。
投稿情報: soramori | 2015年3 月22日 (日) 10:00