今回は長文です。読みでがあります。
屋上で家庭菜園を楽しむためには問題があります。それは...。
そもそも「屋上庭園」は成長が旺盛だと、木が大きくなり建物を壊したり、植物が繁りすぎて病気や虫が出やすくなります。また、成長を促進する有機質が混合されていると、これが目減りをしたり、土が固くなったりして、劣化します。
アクアソイル工法は、このような屋上庭園での問題を解決するために「無機質100%」のアクアソイルをベースに排水資材を組み合わせて植栽します。植物を勢いよく育てるのではなく、ゆっくり育てるのです。この方法で、基本システムの変更なしで、40年以上屋上庭園を造ってきました。
しかしアクアソイルにも問題はあります。成長を緩やかにする、肥料に頼らない植物を育てる方法は「収穫」には向かないのです。
実を大きくして、収穫量を増やしたい家庭菜園にはアクアソイル工法は向きません。三大栄養素を少なくし、ミネラル分を増やしてあるので、家庭菜園をやると、殆どの場合失敗します。(トマトは上手くできている事例もあるようです。それでも液肥での肥培管理が必要なようですが...。)
ずいぶん前のことですが、家庭菜園にオリジナルのアクアソイル工法を使ったお客様がクレームになったことがあります。ナスの苗が数センチ伸びただけで、後は花を咲かせて終わってしまった、家族のために漬物にしたかったのにどうしてくれる!と言われて本当に困りました...。
それ以来家庭菜園には、家庭菜園用として、アクアソイルにマッチする改良材を混合し、施工してきました。
しかし、家庭菜園は、「土いじりをする」「かがんで作業をする」など、普通の庭園とは異なった要素があります。また畑の「畝」のように空気(酸素)が良く通ったほうが良いはずです。
そこで、以前から家庭菜園のアイデアを温めていたのですが、この度それが実現して、その写真を送っていただいたのでご紹介します。
練馬区大泉の住宅の屋上です。設計は以前ご紹介した浅草の家の想設計工房の小島健一さん。(撮影共)http://www.pluto.dti.ne.jp/~kekojima
この家庭菜園の断面は、下図のようなものです。
アクアソイル工法と家庭菜園を分けました。畝というよりはレイズドベッド(raised-bed)"揚床”ですね。
側面から空気が入ることも期待できます。自分が立っている場所より少し高いだけで、多少作業も楽になるのではないでしょうか。
小島さんによれば、今年夏野菜が収穫できた、とのこと。何よりです。
ありがとうございました。
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