以前我が家の前にヒヨドリが巣をかけたのですが、その時にクニャクニャで全く頼りないヒナが、数日ですっかり成長し、巣立っていくのに驚きました。
こんな風だったのに...
三日後にはこんなに凛々しくなって巣立っていったのであります。
長男が産まれた時から「子どもは、特に男の子は早く家を離れた方がいい」と考えるようになりました。自分がなかなか家を離れられなかった、その功罪を自分なりに理解した上での「教育方針」です。そのことを書くと長くなるので、ここでは省略しますが「うんうん、私もそう思う」という方は割と多いのではないかと推測しています。
そんなわけで、子どもにも「早く家を離れなよ」とことあるごとに言い続け、家を建てるときも「個室がなければ自分の空間が欲しいと思うようになる=独立したいと思うようになる」という推測をたて、家にも個室を設けず、みんな一緒に生活して、みんな一緒に寝る、という思春期の青年には悩ましい、あるいは多少不愉快であろうな状況にしました。
我が家は木造二階建てですが、間取りがありません。つまり一階一間、二階一間。年頃の子にはちょっとキビシい生活環境かも知れませんね。
そんな「教育方針」や仕掛けが功を奏したのか、あるいは様々な事情がはたらいたのか、この春長男が大学進学を機に見事に家を離れることになりました。
進学先は名古屋。とても遠いわけではないけど、さりとて家から通える距離でもなく、当然ご当地で一人暮らしをすることになり、先月末に家を出ていきました。
それで、率直に白状しますが、今は「寂しい」「物足りない」気持ちです。
長男が小さい頃、友人から「お前は子どもに関わり過ぎだ。ちょっと距離を取った方がいい」と忠告(アドバイスか?)をされたことがありました。実際子どもとはよく関わっていたように思います。その時は「ふん、そんなものかね」と受け流していましたが、今頃になってその言葉を思い出し、色々考えています。
ついこの間まで殆ど一緒に風呂に入り、プロレスごっこや相撲ごっこをやったり、くすぐったり、怒ったり、泣かしたり、泣かされたり、風邪を引いたり、中耳炎になって大騒ぎしたり、卵アレルギーで耳がダンボみたいに腫れたり、本の読み過ぎで早々に視力が悪化してメガネをつくったり、工作の最中にカッターでざっくり腕を切って病院に連れていったり、中華料理を食べていたら胡麻だんごがメニューになくて大泣きしたり、サッカーやったり、学校で辛い思いをしたり...、とにかく色々あって手間がかかっていたのに、あっと言う背が私と殆ど同じ(しかし足は奴の方が長い)になって、ひとまず我が家を旅立っていってしまいました。
その決断と旅立ちの鮮やかなこと、まるであの時さぁーっと巣立っていったヒヨドリのようです。「さあ行くよ」という瞬間の加速度は、人間も鳥も同じなのかも知れませんね。
こんなところに個人的なことを書き連ねて、ちょっと恥ずかしいと思いますが、「子煩悩」という言葉に「煩悩」の二文字が含まれている意味を、今更ながら気づいた次第であります。
タイトルの「そして僕は途方に暮れる」、そんな女々しい心境ではありませんよ、と書くと言い訳がましいでしょうが、歌詞が今の心持ちにドンピシャです。今聴くとちと切ないですね。恋愛だけについての歌だと思ってましたが、色々な聴き方ができる、いい曲です。特にこの歌詞が。
君の選んだことから
きっと大丈夫さ
君が心に決めたことだから
大学進学、おめでとうございます!
想像できます、父の気持ち。
自分も数年後に訪れるであろう別れに少しずつ準備しておこうと思いました。
投稿情報: takezo! | 2013年4 月 7日 (日) 14:14