事務所の裏の緑道、春爛漫の様相。
いつものようにサクラが見事な花を咲かせ
ハナモモは可憐に
ムラサキダイコン
ハナニラ
オウバイ
新顔のロドレイア
シャクナゲ
花は単純に美しい。
ただそれだけで人の心を和ませる。幸せな気分にさせる。
花が終わっても、風にそよぐ梢の、その葉のきらめきは、心にすっと馴染む、普遍のリズムだ。
この美しい花を見て、「あっ、今100cc吸収してる!」などとCO2の吸収量を発想する人がいるのだろうか?
もしくはコストを試算する人もいるのだろうか?「この植物は幾ら、植え込み費は幾ら、土地代は如何ほどで、人の心を和ませて締めて1000円の利益」とか。
かつて屋上緑化の切り札、といった謳い文句でセダムに注目が集まり、関連の展示会はセダムだらけになった。
異業種参入とやらで、全く植物に関係のない人たちが「うちのシステムなら大丈夫です。簡単で、安くて、しかもセダムですから水やりはいりません。メンテナンスフリーなんです。」とか言い始める。
メンテナンスフリー!本当かね?
そして今度は「セダムは温度を下げないから効果なし」とどこかの誰かが烙印を押す。
そしてあっと言う間にセダムは悪者だ。
住まいの隣家との境界線に植えた覚えのない多肉植物が二種類繁茂している。
なかなかカワイイ。
そんな訳で私自身はセダムには全く恨みはない。
でもセダムが口をきけたらこういうだろう。
「自分たちの都合で勝手に増やしたかと思ったら、今度はいらないからってお払い箱か?まるで工業製品と同じ扱いだな。」
人から聞いた話。
竣工時の緑化面積を確保するために、屋上にそのまま芝生を並べ(そのまま、である。つまり土壌も何もなしで芝生を置く。)検査が終わったらとっとと芝生を剥がしてしまう輩がいるらしい。
そんな検査がまかり通るなら、いっそ人工芝でも敷き詰めて「あれは新種の芝生です。水もいりません。刈り込みもいりません。一年中緑色です。」と説明して切り抜けたらいいのに。
スーパーゼネコンの社員が語った話。
「植物なんてね、竣工から一年もってくれれば、何でも良いんだよ。防水にさえ悪さをしなければ土だって何でも良いんだ。」
あのテレビCMは一体何なんだ?
誰もが知っている酒造メーカーも、屋上緑化や壁面緑化に参入。
HPを拝見すると、何だか凄そうな事が書いてあるけど、植物ってそんなに分かりやすいモノなのだろうか。
どこかの自治体の担当者が、「屋上庭園はCO2を排出するから本当はやりたくない」とのたまわったらしい。
その話を聞いて「じゃあ、あんたが息するな」と言った人がいた。(少々過激だけど、賛成!)
某種苗会社の部長は「俺たちあCO2を吸収させるためだけに花苗を育ててるんじゃねーよ」と憤っていた。
その通りだ。
最近では、丈夫でCO2を沢山吸収する丈夫な植物、も登場。
開発者が、単一の、特定の緑で覆われた緑地が、特殊で不自然なものであると理解していることを願う。
都市の砂漠化を食い止めるための方便だとしたら、百歩譲る。だから単一の植物が地域を覆い尽くして、CO2も吸収できた暁の、その後のこともイメージして欲しい。
でないと、ハブを退治しようとマングースを連れてきたあの島の過ちと同じ轍を踏むことになる。
もう何度もブームになって注目を浴びている屋上緑化だけど、何だかなあ、これでいいんでしょうか?という話が多い。
理屈っぽい話、やはり植物たちには関係なさそうだ。
サクラの花の下で、空を見上げた風景。
ただ、気持ちよく、美しい。
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